筆ペン作品(手本)集~百花繚乱~

江村卽事

 釣りをやめて家に帰った。船は乗りすてたまま、つなぎもせずに。川辺の村は月も沈んで、ちょうど眠るによい時刻だ。たとい夜なかに風が出て船を吹き流したとしても、どうせ芦の花さく浅瀬のあたりに流れ着いていることだろう。